自分の好きな画家の一人に安井曾太郎という人がいます。
明治の時代にフランスに渡り、油絵を学んだ人です。
まだ日本に油絵というものが広まるよりももっと前の時代。
フランスでは油彩による鮮やかな色彩と、画家のオリジナリティーや独自の表現に溢れた絵が広がっていました。
安井曾太郎は中でもセザンヌの絵に強く影響を受けたと言われています。
元々デッサンが得意だった安井曾太郎は、フランスでも多くの賞を受賞したそうです。
まるで写真かのような徹底した写実、日本人ならではの気質というのでしょうか、
海外でも通用する日本人の力です。
フランス時代の安井曾太郎の絵を見てみると、強烈な太陽の光を浴びた青々とした木々が風に揺れているような風景、そこに赤い屋根の家、そして裸婦。
セザンヌの技を盗みセザンヌのような絵を描いていたのでしょう。
ギターでも、自分の憧れているヒーローのコピーをします。
どの音を使っているのかとか、弾くタイミングや、スピード感はどうやってるんだ、とか。
CDをちょっと聴いては止め、いくつも運指を試し、またCDを聴いて、の繰り返しをします。
日本に帰ってきた安井曾太郎は、そのセザンヌの色彩感覚で日本を描いたそうです。
しかし、あまりにフランス的なその絵は、当時の日本人には全くうけなかったようです。
日本の風景を描いているはずなのに、その絵はとても日本とは思えないほど鮮やかだった。
安井曾太郎は15年もの間スランプに陥ったそうです。
自分が学んできたことが全く通じないというのは、相当ショックですよね。
でも諦めなかった。ずっと色と格闘し、油彩を使って日本を描ける技法を身につけました。
自分も海外で音楽を学び日本に帰ってきました。
安井曾太郎のように足掻いています。
海外で学んだジャズというものは、日本には元々無いものです。
どうしたら自分がアメリカで獲得した力がこの国で発揮できるのか。
日々悩んでいます。
自分が2014年に作ったアルバムで、その試みを垣間みる事ができます。
ジャズを知らない人にも聴いてもらえるような内容にしたい。
でもジャズの良さは残したい。
オリジナルをやっても有名人ではない自分の曲を聴いてはくれないだろう。
歌が入ってないと普通CD聴かないよ。
スタンダードをアレンジして、初めてジャズを聴く人にも、ジャズを聴いてきた人にも新鮮なものは作れないだろか。
コードチェンジにJ-popでよくあるやつを使ってみたりしました。
試行錯誤した結果、「Keep Swingin’」というアルバムができました。
全曲無料で聴けるのでもし興味が湧いたら聴いてみてください。
そしたら感想を聴かせてください。
次の作品の参考にさせていただきます。
そしてもしこのアルバムを聴いて、また次の作品が聴きたいと思った方がいらっしゃいましたら、
CDを購入、またはダウンロードしてください。